アニメの「動き」を解剖する:日本発のモーショントゥイーン技術が海外アニメーション
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モーショントゥイーン技術の誕生と革新
1970年代後半、日本のアニメーション界で「モーショントゥイーン」という革新的な技術が発展しました。この技術は、キーフレーム間の中割り作業を効率化し、より滑らかな動きを生み出すことを可能にしました。特に東映動画(現・東映アニメーション)が開発した「動画システム」は、世界で初めて実用化された本格的なモーショントゥインシステムとして、アニメーション制作の歴史に大きな一歩を記しました。この技術により、「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」などの作品で、それまでにない流麗な動きの表現が実現されました。
デジタル時代における進化と普及
1990年代に入ると、コンピューターの処理能力の向上とともに、モーショントゥイーン技術は大きく進化します。特に「新世紀エヴァンゲリオン」の制作では、従来の手描きアニメーションとデジタルモーショントゥイーンを組み合わせることで、独特の視覚効果を生み出しました。日本発のこの技術は、Adobe Flash(現・Adobe Animate)などのソフトウェアに実装され、世界中のアニメーターたちに新しい表現の可能性を提供しました。この時期、モーショントゥイーン技術は、効率性と芸術性の両立を実現する重要なツールとして認識されるようになりました。
海外アニメーションへの影響と展開
2000年代以降、日本のモーショントゥイーン技術は、海外のアニメーション制作に大きな影響を与えていきます。特に「アバター:伝説の少年アン」や「スティーブン・ユニバース」などのアメリカのアニメーション作品では、日本式のモーショントゥイーン技術を積極的に採用。これにより、アメリカのアニメーションに特徴的だった「スクォーシュ&ストレッチ」の動きと、日本のアニメならではの繊細な動きが融合した、新しいアニメーション表現が生まれました。また、フランスやスペインなどのヨーロッパのアニメーションスタジオでも、日本発のこの技術を取り入れた作品制作が増加しています。
次世代技術との融合と未来展望
現代では、AIやリアルタイムモーションキャプチャーなどの最新技術と、モーショントゥイーン技術の融合が進んでいます。「スパイダーマン:スパイダーバース」シリーズでは、伝統的なモーショントゥイーン技術とコンピューターグラフィックスを組み合わせることで、まったく新しいビジュアルスタイルを確立しました。日本発のモーショントゥイーン技術は、今や世界のアニメーション制作の標準となり、次世代の表現技術の発展にも大きく貢献しています。今後は、VRやAR技術との統合により、さらなる可能性が開かれることが期待されており、アニメーションの「動き」の表現は、新たな革新の時代を迎えようとしています。