
是枝裕和監督の代表作 - 人間ドラマの真髄
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初期の傑作『幻の光』と『ワンダフルライフ』

是枝裕和監督の長編デビュー作『幻の光』(1995年)は、事件で夫を失った女性と息子の物語を通じて喪失と再生のテーマを描き、ヴェネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞を受賞。『ワンダフルライフ』(1998年)は死後の世界を独自の視点で描き、人生で最も大切な一つの思い出を選んで永遠に持っていくという設定を通じて、生と死の境界を独特の感性で表現しました。
社会問題を織り込んだ傑作『誰も知らない』

2004年の『誰も知らない』は実際の「巣鴨子供置き去り事件」に着想を得た作品で、母親に置き去りにされた子どもたちの生活を繊細に描写。主演の柳楽優弥はカンヌ国際映画祭で史上最年少の最優秀男優賞を受賞しました。プロと非職業俳優を混在させ、即興的な演技を引き出す是枝監督の手法が高く評価され、社会問題の提起と純粋な映画表現が見事に融合した傑作として認められています。
国際的評価を決定づけた『万引き家族』

2018年の『万引き家族』は是枝監督の作家性が凝縮された作品として、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。血縁関係のない人々が「家族」として暮らす姿を通じて、現代日本の貧困問題や家族のあり方を鋭く問いかけています。豪華キャストの熱演も相まって国内外で大きな反響を呼び、法的・社会的な「正しさ」と人間的な「優しさ」の矛盾を浮き彫りにしました。
新たな挑戦『真実』と『ベイビー・ブローカー』

パルムドール受賞後、是枝監督は2019年にフランスを舞台にした『真実』、2022年に韓国を舞台にした『ベイビー・ブローカー』を発表。言語や文化の壁を越えて「家族」や「人間関係」の普遍性を探求し続けています。国境を越えた創作活動は、世界の映画界における是枝監督の重要性をさらに高めるものとなっています。