みなさんこんにちは。NEXT ACADEMY Podcastへようこそ。今回のテーマは、個人で作った登山アプリ「yamago」のメイキングです。ヘルスケアの事業をしているマサさんが、なぜ登山アプリを自分の手で作ることになったのか。設計から検証、リリースまでの流れを順にうかがっていきます。
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なぜ登山アプリを自分で作ったのか
HAL: まず発端から教えてください。登山アプリを自分で作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
マサ: もともと登山をしていて、そこで既存の登山アプリを使ってみたんです。ただ正直、自分には必要のない機能がたくさん入っていて、デザインも個人的にあまり好みではないものが多かった。それで、自分で小さく作ってみようと思いました。
HAL: 既存のアプリで「必要ではない」と感じた機能は、具体的にどのあたりだったのでしょうか。
マサ: 私はもともとSNSをまったくしませんし、どこかのコミュニティに属したいという考えも持っていません。なのでSNSの共有機能や、お互いの登山記録を見せ合うところが一番好きになれませんでした。一方でランニングは続けていて、普段ランニングで使っているアプリは「走る」という機能に近いものだったので、そちらはよく使っていました。
HAL: そのランニングアプリで良いと感じていた点は、どこだったのでしょうか。
マサ: Apple Watchに対応していて、Apple Watch側で操作が完結すること。それと、走るペースを教えてくれるので、タイムを狙うときに役に立ちました。その2点が、登山でも必要ではないかと考えたんです。
心拍を見せる、という設計
HAL: 手首だけで操作が完結する、という発想はそこから来たわけですね。登山では、走るペースの代わりに心拍を見せる設計にされていますが、これはどういう考えからでしょうか。
マサ: 運営しているヘルスケアのサービスとつなげたほうがいいだろうと考えました。せっかく登った記録を何かに活用できたほうがいい。登ったことが自分の体にどういう効果を及ぼしているのかを視覚化できれば、登山のモチベーションにもなるだろうと思って、そこをつなげました。
HAL: 心拍が急に上がったときに通知する機能も入れられています。これは実際に山を歩いていて必要だと感じた場面があったのでしょうか。
マサ: これは実際に高齢の方からの要望があったんです。「これがあったほうが事故につながらないので助かる」と言われて、それで入れました。個人的にはまだ自分が体験しているわけではないですね。
HAL: 高齢の方から要望が出たというのは、どういう場面で聞かれたのでしょうか。
マサ: 登山をされる中高年の方は多いのですが、途中でいろいろな身体的なトラブルがあって下山できない、というケースが非常に多いそうです。それが事前に分かるのであれば、すごく計画が立てやすい。そういう話を聞いて、入れることにしました。
実際に登って、AIと解析する
HAL: 実際に山に登られて精度の検証もされたとうかがっています。獲得標高の誤差は0.7から2.5パーセントという数字が出ていますが、この検証はどのように進められたのでしょうか。
マサ: 実際に何度も登ってデータを出して、それをAIと一緒に解析していく。これを何度も繰り返しています。
1年4ヶ月かかった開発
HAL: 開発そのものについてもうかがいます。アプリの制作は、どういう環境と進め方で行われたのでしょうか。
マサ: 実は開発には1年4ヶ月ほどかかっています。昨年の時点でのAIを使ったアプリ開発では到底無理だったので、AI自体のアップデートが進むのを待ちながら作ってきました。特にApple Watchの実装が難しくて、iPhoneだけで済むのであれば簡単なのですが、ここは大変苦労したところです。
HAL: Apple Watchの実装が難しかったのは、具体的にどのあたりでしょうか。
マサ: やはり「動かない」というところですね。iPhoneからWatchへデータが飛ばない、ということが何度もありました。
HAL: そういうときは、どうやって原因を突き止めていったのでしょうか。
マサ: yamagoには実はもう一つ姉妹アプリがあって、それがヘルスケアのアプリなんです。そちらも血中酸素や心拍数など大量のデータを扱うアプリなので、同じようにいろいろ苦労していました。ただ続けていると、だんだんいろいろなことに詳しくなってきます。それと、AIが必ずしもすべて正しいわけではなくて、間違ったことをしたり、途中でリセットして最初から作り直したりということがよくありました。それを何度も自分がチェックすることで、進めていったというところです。
HAL: AIが途中でリセットして作り直してしまう、というのは開発者にとってかなり厄介だと思います。それを防ぐために工夫されたことはありますか。
マサ: GitHubで1日1回、履歴を残すようにしていました。どこかでおかしなことが起きても、そこにさかのぼれば直せると分かったので、それを何度も何度も繰り返していましたね。
作って終わりではない
HAL: 開発のハードルはずいぶん下がったと言われますが、実際に作ってみて、そこはどう感じられましたか。
マサ: 簡単に作れるようにはなっています。ただ、ちゃんと使えるものにするためには、やはり自分で実際に使って改善を重ねていかないといけない。ここは変わらないと思っています。作って終わりではなくて、使えるツールにきちんとしていくためには、それなりに時間はかかると思っています。
作るハードルは確かに下がった。けれど、ちゃんと使えるものにするには、自分で実際に使って、改善を重ねていくしかない。作って終わりではなく、そこから始まる。1年4ヶ月というyamagoの開発期間は、その時間そのものだったのだと思います。
今回はここまでです。次回もどうぞお楽しみに。



