みなさんこんにちは。NEXT ACADEMY Podcastへようこそ。今回のテーマは、精密栄養カウンセラーです。最近耳にすることが増えてきたこの仕事について、そもそも何をする人なのかという基本のところから、マサとともに掘り下げていきます。
精密栄養カウンセラーとは何か
HAL: まず一番シンプルな質問からです。精密栄養カウンセラーとは、ひとことで言うとどんな仕事なのか聞かせてください。
マサ: 実はいま、NEXT ACADEMYの教材として「精密栄養カウンセラーの血液検査データの見方」というコンテンツを制作しています。
精密栄養カウンセラーとは、病気になる前の段階で生活を整えるために、食事や運動などのアドバイスをする人のことです。そして、もし何か危険な兆候があれば、すぐに病院へ引き渡す役割も担います。特に資格があるわけではないのですが、そういったところに特化したカウンセリングを行う人のことを指しています。
越えてはいけない一線
HAL: 病気の手前で生活を整える伴走役であり、危険な兆候があれば医療につなぐ見張り役でもある、ということですね。資格がないぶん、聞いている方が気になるのは、医師や管理栄養士とどこが違うのかという点だと思います。どこまでを担い、どこから先は踏み込まないのか、その線引きをどう考えているか聞かせてください。
マサ: ここはとても難しいところで、実際にカウンセリングをしている人たちも悩むところだと思います。
まず、病気の診断をしてはいけない。これが大前提です。
数値の向こう側を聞く
HAL: 診断は医師の領域ですから、どれだけデータが読めても越えてはいけない一線ですね。ただ現場では、たとえば基準値から外れた数値を前にして「糖尿病の可能性がありますね」と言ってしまえば、それはもう診断に近い言い方になってしまいます。診断に踏み込まずに、数値をどういう言葉で相手に伝えるようにしているのか聞かせてください。
マサ: 数値が悪いから「糖尿病ですね」という言い方はしません。その代わりに、どういう状況で採血をして検査を受けたのかなど、数値には書かれていないところをできるだけ伺うようにしています。
血液検査データの向こう側にある、その人の生活全般を知ること。こちらばかりが話すのではなく、聞くことに徹する。それが重要だと思っています。
「なぜ」に答え、その人だけのゴールをつくる
HAL: 血液検査の数値は、空腹かどうか、前日の飲酒、直前の運動、睡眠不足といった条件でも動きます。だからこそ数値の背景を聞くことが、そのまま読み解きの精度にもつながるわけですね。聞くことに徹したとき、相手の側にはどんな変化が起きることが多いのか聞かせてください。
マサ: まず、データそのものが、本人が思っていたのとは意外な結果になっていることがあります。自覚がない中で、なぜこんな数値が出たんだろうという疑問が生まれる。そこに答えていくのも役割の一つです。
そして最後に、ここが一番重要なのですが、人によって状況はバラバラなので、その人に合わせたゴール設定、目標設定をつくってあげること。これが一番大切だと思います。
ニーズは広がっているのか
マサ: ここでこちらからも聞きたいのですが、精密栄養カウンセラーは増えているのでしょうか。ニーズが増えているのかもあわせて教えてください。
HAL: 精密栄養カウンセラーの人数そのものを示す統計は見当たりませんでした。公的な資格ではないので、数えようがないというのが実情です。
ただ、ニーズのほうは確実に広がっています。アメリカの国立衛生研究所(NIH)は、2020年からの10年間の戦略として精密栄養を掲げました。日本でも厚生労働省の資料によると、精密栄養の実践プラットフォームづくりが進められていて、日本人1万2千人以上の食と健康に関するデータが集められています。民間の市場予測でも、個別化栄養の分野は今後数年で大きく伸びると見込まれています。
データや仕組みの側は国レベルで整いつつある一方で、そのデータを一人ひとりの生活に落とし込める人はまだ多くありません。担い手が追いついていない、とも言えそうです。
悪くなってから行く、という根強い考え
HAL: マサの実感としては、相談に来る人の層や数に変化を感じているのか聞かせてください。
マサ: 手軽なところから興味を持って参加する人はいるものの、正直そこまで必要がないという人も多いです。また、保険が効かないぶん支払いが高いと感じる人もいます。病気や怪我で調子が悪くなってから病院に行けばいい、という考えは、まだ随分根強いという印象です。
健康は「積み立て」である
HAL: 保険診療がしっかりしているからこそ、悪くなってから行けば安く診てもらえる。予防にお金を払う動機が生まれにくい構造でもありますね。それでも実際にカウンセリングを受けて続けていく人には、どんな共通点があるのか聞かせてください。
マサ: 意識が高いと言ってしまえばそれまでなのですが、理解している人は、健康もお金と同じ積み立てだという認識を持っています。
年金を国だけに任せていられなくなって、つみたてNISAのような仕組みが後から出てきたように、保険医療が立ち行かなくなれば、今度は健康の積み立てが求められるようになると思います。
そうなると、貯金はできるだけ早く始めたほうがいいのと同じで、健康もできるだけ早い段階で着手したほうがいい。年を取ってから貯金をしようとしても限界があるように、後から取り戻せることは限られてきます。だからこそ、積み立てとして、早い段階から参加したほうがいいと思っています。
今回は、精密栄養カウンセラーとは何かという基本から入り、診断はせずに数値の向こう側にある生活を聞くこと、そしてその人に合わせた目標をつくることの大切さをうかがいました。予防へのニーズが広がる一方で、悪くなってから病院へ行く考え方はまだ根強い。だからこそ、健康を積み立てとして捉え、早い段階から始めることが大切だ―そんなお話でした。
次回もどうぞお楽しみに。
【要確認】
- 教材「精密栄養カウンセラーの血液検査データの見方」は制作中とのことでしたが、公開前の記事で名前を出してよいか
- 「保険支払いが高い」を「保険が効かないぶん支払いが高いと感じる」と整文。意図と合っているか
- 「保険医療が崩壊して」を「保険医療が立ち行かなくなれば」と表現を和らげて整文。元の強さのままがよいか
- 収録中にHALが「内閣府のプログラムで」と述べた部分は出典で確認できなかったため、「厚生労働省の資料によると」に修正済み
- 市場規模の具体的な数値は調査会社によって幅が大きいため本文から外し、「大きく伸びると見込まれている」にとどめた
- 収録途中の「ストップしてください」の発言は、収録継続の指示と判断し本文から除外
- HALの「ゴール設定は数値と行動のどちらを目標にするか」という問いは、マサの逆質問に移ったため回答がなく本文から除外



